
26/01/2025
弊社が創業当初から輸入するカーメリテン醸造所の社長、クリストフ・ケンプフ氏が1月15日、59歳の若さで突然この世に別れを告げられました。
本来ならもう少し早くお知らせをすべきでしたが、私代表渡邉の心の整理がつかず、今のタイミングでの投稿となりました。
カーメリテンのビールに衝撃を受けた私渡邉がEin Bier, Bitte.を立ち上げ、2018年以来ここまで続けられたのは、ケンプフ氏のご理解とご協力があってこそでした。
事業を始めて間もない、経験も何もない、何者でもない若造に、ビールの輸出を認めるというのは、普通ではありえないことだと思います。
カーメリテン醸造所の社長を2008年から務め、その他にもディプロムビアソムリエ協会の会長として2012年から2024年まで、ニーダーバイエルン地方の商工会議所の副会長、シュトラウビング市の商工会議所の会長も務められるなど、ビール界と地元経済界で幅広く活躍されていたケンプフ氏ですが、
その多忙なスケジュールの中でも私が渡独の度に毎回醸造所を訪れる際に必ず時間を取ってくれ、常に紳士的に振る舞い、日本向けの輸出に関しても様々な面でご協力頂きました。
そんなケンプフ氏については紳士的で真面目な方、というイメージがずっとあったのですが、
昨年9月に奥様と初めて日本を訪れた際には、終始リラックスされ、今まで見たことのない柔和な表情とおちゃめな姿を沢山見ることができました。
約10日間の滞在のほとんどに同行し、日本各地を紹介して回りましたが、日本の自然や文化にとても感銘を受けたご様子で、
「渡邉さんが日本で今の2倍3倍売ってくれたら僕はまた日本に来ることができるから頑張ってよ」とも仰られ。
我が家にも訪れてもらい、生まれて間もない我が息子を抱きあげ「これを着てドイツに来てね」と子供用のレダーホーゼも頂戴し。
泊まった旅館では温泉で裸の付き合いもさせてもらい、ゆっくりとお話ができました。
この滞在を通じて、今までビジネス上の付き合いでしかなかったのが、ようやく本当の意味で打ち解けられたようで嬉しく、また、ケンプフ氏の魅力にさらに惹きつけられました。
ほどなくして10月にはこちらから醸造所を訪問し、その際も多忙にもかかわらずご対応頂き、
日曜日の稼働していない醸造所、普段立ち入れない場所を紹介してもらったり、
プライベートでも繋がりのある場所に連れて行ってもらったりと、いつもドイツで同行頂く方に「いつの間にそんなに仲良くなったの?」と言われるぐらい、非常に良い関係を築けていたと思います。
…それが、あまりにも突然の、お別れの知らせで、
ずっと信じられずにいながらも、相次ぐ報道にだんだんとその事実を受け入れざるを得ませんでした。
そして現地時間の1月25日、シュトラウビングの教会にて関係者向けの法要が執り行われ、私も参列してきました。
居ても立っても居られず、どうしても最後に感謝の意を伝えたかったから。
大きな教会がギッシリと埋まるぐらいの多くの人が訪れ、悲しみ、みな口を揃えて「紳士的で真面目で人の模範になるような人間だった」と。
参加されていた面々からも、あまりにも大きな存在を失ったのだなと、身をもって感じました。
願わくば、クリストフ、と呼びたかった。
今後も私渡邉は変わらず、カーメリテン醸造所と、日本への輸入を通じて良い関係を築き続け、
ケンプフ氏の情熱を胸に、1367年から続くドイツで35番目に長く続く企業の今後の永続的な発展に弊社としても貢献し、
その価値と美味しさを伝えていけるようこれからも頑張っていきます。
ご令嬢、奥様、ご家族の皆様、醸造所のオーナーや従業員の皆様、
ご関係者の皆様のご心痛をお察し申しあげますとともに、
クリストフ・ケンプフ氏の安らかな眠りをお祈りいたします。
Ruhe in Frieden, Herr Kämpf.
Ein Bier, Bitte.
代表 渡邉 夏生